失恋したいから、あなたを好きになりました。
捨てられたいから、あなたを好きになりました。
恋なんて分かりません。愛なんて分かりません。
でも、失恋をしたかったのです。
その痛みが分かったとき、きっと恋も愛も分かると思ったのです。
好きだと思い込むことは想像以上に簡単で、そのことに勝手にがっかりしました。
思い込みの感情は恋とも愛とも言えないのだと思います。
けれど失恋だけは、 その涙と胸の痛みだけは本物だと。
そう考えていたのです。
あなたは私を嫌いになってはくれませんでした。
あなたは私を捨ててはくれませんでした。
だから私はあなたの隣で笑っている人を恋人だと決めつけました。
勝手に好きだと思い込んで勝手に失恋したのです。
どちらも勘違いだということは頭が痛くなるほどに分かっていました。
だけど、涙が出ました。
胸が痛くなりました。
どうやら私は失恋をすることができたみたいです。
けれど結局、愛も恋も何も分かりはしませんでした。
皆も分からないみたいです。
けれどやはり皆も、失恋だけは分かるみたいです。
私の中には独占欲と仄暗い欲望と失恋が残りました。
恋を失うという行為をしたけれど、失ったものは何一つありませんでした。
正解など何一つなくても、きっと今の私にはこの言葉が一番間違いから遠いのだと思います。
私は。
私は恋を失って、初めて恋をしました。
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