半月ぶりに彼と会う。
楽しみかそうじゃないかと問われても、きっと私では答えを導くことはできないのだろう。
いざ会ってみると、彼は1週間振りだねって言って笑った。
彼は間違えている。何を間違えているのかは、分からないけれど。
たわいも無い会話を繰り返していくけれど、そこには少しだけ、違和感がある。
私の知らない私の話。
私が覚えていないだけなのかも知れなくて、最初のうちは必死に覚えている振りをしてたけど、うん。やっぱり私、その話は知らないや。
嘘がつけない彼は、嘘が付けないからと言って私を裏切らないわけじゃ無かったのにね。
いつからかしていた勘違い。
そもそも、彼は私を裏切っているつもりなんて無いのかもしれない。
本当はもう潮時なのだろう。
でも、彼を問いただしたときにもし上手く嘘をつかれてしまったら。
きっと私にはそれが一番耐えられない。
私の中だけでいいから、嘘のつけない彼でいて欲しい。
現実も見ることの出来ない馬鹿な私のわがまま。
でも、いつだって彼だけは嘘じゃないものをくれるって信じていたから。
ううん、まだ盲目的に信じてしまっているから。
幸せだねって笑う彼。
うん、そうだね。
彼が幸せだって言うなら、絶対に私は幸せなんだ。
自分の中の本当の幸せから必死に目を逸らしている。
彼といることが、それだけで幸せだって思い込んでいる。
いっそのこと、彼のことは恋人だと思わなければいいのかもしれない。
ねえ、私は。
私は、あなたのために幸せを殺して幸せになるよ。
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